産業推進室
「缶詰」でくらしを守る食づくりの取り組み
2023年4月3日 0時00分 更新 2014年11月13日 18時36分 公開
黒潮町の第三セクターである株式会社黒潮町缶詰製作所は、無印良品を展開する株式会社良品計画との取り組みにより、地域の食材を詰め込んだ缶詰を開発し、2015年4月上旬より発売します。(諸般の事情により発売日が延期となっております。詳細は決まり次第改めて告知いたします。)
■日本一の被害想定をバネに
黒潮町は、2012年3月に国から公表された南海トラフ巨大地震の新想定で、34.4メートルという日本一高い津波が押し寄せる可能性があることが示されました。
この想定を受けたことにより、住民の反応として避難をあきらめる「避難放棄」と、津波リスクを嫌ってまちに住むことをあきらめる「震災前過疎」と呼ばれる2つのあきらめが起きようとしていました。
こうした状況を危惧した当町は「犠牲者ゼロ」を掲げ、「避難放棄」対策として、津波避難タワーや避難道整備といったハード面の整備だけでなく、徹底したソフト対策として町内61地区463班の全地域を対象に地区別懇談会とワークショップを開催し、住民の意識の向上を図ると共に津波浸水予測地域に住んでいる40地区283班を対象に戸別避難カルテづくりに取り組みました。
さらに、これらの避難放棄対策に加え、人口減少と流出という既存の課題に拍車がかかる「震災前過疎」対策を進めることとしました。日本一という厳しい想定をバネとした新しい産業を興し、町内に雇用の場を確保する対策に着手しました。
■缶詰は、保存法でなく調理法
「新産業の創造」へ向け産学官連携のプロジェクトチームを立ち上げ、様々な協議を進める中で、防災の町としての認知度を生かした防災関連産業に着手することとしました。
町内や県内の豊かな食を活かした「非常食」の産業化として、携帯性にも優れ非常時には容器にもなる「缶詰」に注目し、その可能性を検討してきました。
缶詰は、常温で長期保存ができるといった「缶」の保存機能だけではなく、旬の食材の持つおいしさと栄養素を閉じ込めることができる多様な機能があります。それは、料理技術の結集である「真空高圧料理」そのものであり、味そのものを美味しく高める、優れた調理機能です。
災害時において不足する栄養バランスや、非常時に食べ慣れないものを食べることのストレスについても考慮し、普段の生活に溶け込んだいつでも食べたい非常食を作ろうとの思いから、日常のおいしさ、ふるさとの多様な味を詰め込むことができ、もしもの時に日常を取り戻せる食品=「缶詰」づくりに挑戦することとしました。
■毎日食べたい日(ひ)常食
これらの内容を具体化するため、町は第三セクターである株式会社黒潮町缶詰製作所を2014年3月11日に設立するとともに、小規模な製造設備を備えた工場を建設、4月から操業開始しました。現在は、試作品の研究開発と併せて、本格的な製造に向けてスタッフの技術と知識の習得を目的とした人材育成が着々と進んでいる状況です。
黒潮町缶詰製作所では「おいしいから食べる。食べるから日常的に購入する。それが備えになる。」という循環備蓄の提案として「毎日食べたい非常食=日(ひ)常食」を目指し、味・栄養バランスの両方を備えた製品づくりに取り組んでおり、オリジナル商品は、現在町内に2箇所ある道の駅で販売しています。
■無印良品「いつものもしも」と連携
当町と協力して商品開発を行うこととなった無印良品は、「ふだん使いできるモノをいざという時の防災用品」として役立てる「いつものもしも」という提案を以前より行っています。
備えは日常の中にあることが大切であり、それらを「使いこなせてこそ本当の防災力になる」との考えのもと、すぐ手元にあること=ローリングストックとしていつも家庭や地域に常備でき、かつ日常のおいしさを表現するために、「缶詰」に注目し、2015年4月上旬より缶詰商品を発売することとなりました。
(諸般の事情により発売日が延期となっております。詳細は決まり次第改めて告知いたします。)
(諸般の事情により発売日が延期となっております。詳細は決まり次第改めて告知いたします。)
○株式会社良品計画 ニュースリリース(2014年11月10日)
お問い合わせ
黒潮町役場 産業推進室 産業推進係 電話0880-43-2113