○黒潮町債権管理条例
平成26年3月19日
条例第30号
(目的)
第1条 この条例は、町が有する債権の管理等に関し、必要な事項について定めることにより、債権管理の一層の適正化を図り、もって公正かつ円滑な行財政運営に資することを目的とする。
(1) 町の債権 金銭の給付を目的とする町の権利をいう。
(2) 公債権 町の債権のうち地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第231条の3第1項に規定するもの及び地方税法(昭和25年法律第226号。)第1条第1項第4号に規定するものをいう。
(3) 強制徴収公債権 公債権のうち法第231条の3第3項に規定する地方税の滞納処分の例により処分することができるもの及び同法の規定に基づく徴収金に係るものをいう。
(4) 非強制徴収公債権 公債権のうち強制徴収公債権以外のものをいう。
(5) 私債権 町の債権のうち私法上の原因に基づいて発生するものをいう。
(6) 非強制徴収債権 非強制徴収公債権及び私債権をいう。
(他の法令等との関係)
第3条 町の債権の管理に関する事務の処理については、法令又は他の条例若しくはこれらに基づく規則に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。
(町長の責務)
第4条 町長は、法令又は条例若しくは規則の定めるところに従うとともに、この条例の目的を達成するよう、適正に処理しなければならない。
(台帳の整備)
第5条 町長は、町の債権を適正に管理するため、規則等で定める事項を記載した台帳(電子的方式、磁気的方式等人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)を整備しなければならない。
(滞納者に関する情報)
第6条 町が保有する債権について、納付遅滞となった債務者が、同時に町の債権を滞納している場合においては、事務相互にその者に係る情報を利用することができる。ただし、法令により目的外利用を制限する債務者に関する情報は除く。
2 債権を管理する所管課等は、納付遅滞となった債権回収を図るため、町が支払うべき債務について調査することができる。
(納入の通知及び督促)
第7条 町長は、町の債権の履行を請求するため、納入通知書、納付書、請求書その他の書面により債務者に対して納入の通知をしなければならない。
2 町長は、町の債権に係る債務者が履行期限までに当該債務の全部又は一部の履行をしないときは、期限を指定してこれを督促しなければならない。ただし、履行期限の繰上げをするときは、この限りでない。
(私債権に係る遅延損害金)
第7条の2 町長は、契約に特別な定めがある場合を除き、当該債権の履行期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ、民法(明治29年法律第89号)第404条に定める法定利率(以下「法定利率」という。)の割合を乗じて計算した金額に相当する遅延損害金をその債権の元本に加算して徴収するものとする。
2 前項の遅延損害金の額を計算する場合において、その計算の基礎となる債権の額に1,000円未満の端数があるとき又はその債権の額の全額が2,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。
3 第1項の遅延損害金の確定金額に100円未満の端数があるとき又はその全額が1,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。
4 第1項に規定する遅延損害金の計算に当たる法定利率の年当たりの割合は、閏年の日を含む期間についても、365日当たりの割合として計算する。
5 裁判上の請求をする場合においては、前3項の規定は適用しない。
(公債権に係る過誤納金)
第7条の3 公債権の過誤納に係る徴収金の取扱いについては、法第231条の3第4項の規定により地方税の過誤納金の例による。
(私債権に係る過誤納金)
第7条の4 町長は、私債権の過納に係る徴収金(以下この項において「過納金」という。)又は私債権の誤納に係る徴収金(以下この項において「誤納金」という。)があるときは、契約に特別の定めがある場合を除き、過納金にあっては減額更生等のあった日、誤納金にあっては歳入があった日のそれぞれ翌日から過納金又は誤納金(以下この項及び第5項において「過誤納金」と総称する。)の返還の日までの期間の日数に応じ、その金額に法定利率の割合を乗じて計算した金額(以下「還付加算金」という。)を当該過誤納金に加算して返還するものとする。
3 前項の場合において、一方の債権が既に時効により消滅していた場合であってもその消滅以前に相殺適状であったときには、民法第508条の規定により相殺することができる。
4 前2項の規定による相殺の充当については、民法第512条の規定による。
(保証人に対する通知)
第7条の5 町長は、町の債権に係る債務者が履行期限までに当該債務の全部又は一部の履行をしないときは、民法第458条の3第1項の規定により、保証人に対し、その旨を通知しなければならない。ただし、保証人が法人である場合には、この限りでない。
(滞納処分等)
第8条 町長は、強制徴収公債権の滞納処分並びに徴収猶予、換価の猶予及び滞納処分の停止については、法令の定めるところにより、これを行わなければならない。
(1) 担保の付されている非強制徴収債権(保証人の保証があるものを含む。)については、当該非強制徴収債権の内容に従い、その担保を処分し、若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対して履行を請求すること。
(2) 債務名義のある非強制徴収債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については、強制執行の手続をとること。
(専決処分)
第10条 町長は、訴訟手続等により履行を請求する場合において、その目的の価格が1件(各科目ごと)につき100万円以下のものについては、訴えの提起、和解及び調停に関して、法第180条第1項の規定によりこれを専決処分することができるものとする。
2 前項の規定により専決処分をしたときは、町長は、これを議会に報告しなければならない。
(履行期限の繰上げ)
第11条 町長は、町の債権について、履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第14条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は、この限りでない。
(債権の申出等)
第12条 町長は、町の債権が次の各号のいずれかに該当することを知った場合において、法令の規定により町が債権者として交付要求、配当要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちにそのための措置をとらなければならない。
(1) 債務者が強制執行を受けたこと。
(2) 債務者が町税その他の公課についての滞納処分を受けたこと。
(3) 債務者の財産について競売の開始があったこと。
(4) 債務者が破産手続開始の決定を受けたこと。
(5) 債務者の財産について企業担保権の実行手続の開始があったこと。
(6) 債務者である法人が解散したこと。
(7) 債務者の財産について相続の開始があった場合において、その相続人が限定承認をしたこと。
2 前項に規定するもののほか、町長は、町の債権を保全するため必要があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め、又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。
(その他の債権保全)
第12条の2 町長は、町の債権を回収するに当たり、債務者が第三者に債権を有すると認められる事実が判明した場合において、なお履行されない町の債権があると認められるときは、公債権及び私債権を問わず、次に掲げる権利を行使することができる。
(1) 債権者代位権
(2) 詐害行為取消権
(3) 代理受領
(4) 債権譲渡
(徴収停止)
第13条 町長は、非強制徴収債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは、以後その保全及び取立てをしないことができる。
(1) 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。
(2) 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。
(3) 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められるとき。
(履行延期の特約等)
第14条 町長は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において、当該非強制徴収債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。
(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。
(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。
(3) 債務者について災害、盗難その他特別の事情が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。
(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る非強制徴収債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。
2 町長は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において、既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(以下「損害賠償金等」という。)に係る非強制徴収債権は、徴収すべきものとする。
(履行延期の特約等に付する条件)
第14条の2 町長は、前条の規定により履行延期の特約等をするときは、次に掲げる趣旨の条件を付するものとする。
(1) 債務者の資力等を勘案して町長が必要があると認めるときは、人的担保又は物的担保を提供させること。
(2) 当該債権の保全上必要があるときは、債務者又は保証人に対し、その業務又は資産の状況に関して、質問し、帳簿書類その他の物件を調査し、又は参考となるべき報告若しくは資料の提出を求めること。
(3) 前号に規定する帳簿書類その他の物件を第三者が保有すると認められる場合においては、町長がこれらの者への調査を行うことに同意すること。
(4) 次のいずれかに該当する場合には、当該債権の全部又は一部について、当該延長に係る履行期限を繰り上げること。
ア 債務者が町の不利益にその財産を隠し、損傷し、若しくは処分したとき若しくはこれらのおそれがあると認められるとき又は虚偽に債務を負担する行為をしたとき。
イ 当該債権の金額を分割して履行期限を延長する場合において、債務者が分割された弁済金額について2箇月以上履行を怠ったとき。
ウ 第12条第1項各号のいずれかに掲げる事実が生じたとき。
エ 債務者が第1号の条件その他の当該履行延期の特約等に付された条件に従わないとき。
オ その他債務者の資力の状況その他の事情の変化により当該延長に係る履行期限によることが不適当となったと認められるとき。
(免除)
第15条 町長は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約又は処分をした非強制徴収債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした場合は、最初に履行延期の特約又は処分をした日)から10年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。
(債権の放棄)
第16条 町長は、非強制徴収債権(100万円以下のものに限る。)について、次の各号のいずれかに該当するときは、当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等の全部又は一部を放棄することができる。
(1) 当該私債権について消滅時効に係る時効期間が満了したとき(債務者が時効の援用をしない特別の理由があるときを除く。)。
(2) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項、会社更生法(平成14年法律第154号)第204条第1項その他の法令の規定により債務者が当該非強制徴収債権につきその責任を免れたとき。
(3) 債務者が生活保護法(昭和25年法律第144号)の規定による保護を受け、又はこれに準じる状態にあり、資力の回復が困難で、当該非強制徴収債権について、履行の見込みがないと認められるとき。
(4) 債務者が死亡し、その相続について限定承認があった場合において、その相続財産の価額が強制執行をした場合の費用並びに当該非強制徴収債権に優先して弁済を受ける町の債権及び町以外の者の権利の金額の合計を超えないと見込まれるとき。
(5) 当該非強制徴収債権について第13条の規定による徴収停止の措置をとった場合において、当該措置をとった日から相当の期間を経過した後においても、なお履行させることが著しく困難又は不適当であると認められるとき。
(7) 債務者が死亡、失踪、住所不明その他これに準ずる事情にあり、徴収の見込みがないとき。
(8) 当該非強制徴収債権の存在につき法律上の争いをした場合に、勝訴の見込みがないと認められるとき。
(9) 債務者である法人の清算が結了したとき。ただし、当該法人の清算につき返済の責に任ずべき他の者があり、その者について前各号に掲げる事由がない場合を除く。
2 町長は、前項の規定により債権を放棄したときは、これを議会に報告しなければならない。
(その他)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
第1条 この条例は、平成26年4月1日から施行する。
(経過措置)
第2条 この条例は、施行日前に発生した町の債権についても適用する。
附則(令和5年12月15日条例第35号)
(施行期日)
1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。
(遅延損害金及び還付加算金に関する経過措置)
2 この条例による改正後の第7条の2及び第7条の4規定は、遅延損害金及び還付加算金のうち条例の施行の日以後に履行期限の到来するものについて適用し、同日前に履行期限の到来するものについては、なお従前の例による。